英語公用語化はトップの強いリーダーシップ
「給与と連動する社員資格は役員クラスのトリプルAからダブルA、
マネジャークラスのシングルA、その下のトリプルBなどに分かれる。
たとえば、シングルAには650点の目標を設定し、
そこから100点以上下回る人を“レッドゾーン”に組み入れて
英語の勉強を促した。
さらに、
社内公用語化スタート前の12年6月末までに目標をクリアしないと、
給与が10%カットされた。
スタート後も半年ごとに目標点数が上がり、必死に勉強した」
日報などの社内文書や資料もすべて英語で、
会議も日本人同士であっても極力英語を使う。
前出の社員が事業長と三木谷会長との会議に同席したとき、
事業長が「今日は3人なので日本語で……」と語りかけた瞬間、
会長に「No! English only!」と拒絶された。
だが、日本人同士では議論も活性化しない。
「英語でやると皆黙ってしまう。
ブレストが必要なときは日本語で行い、
資料だけ英語で作成してお茶を濁していたこともある」という。
▲ 社内公用語化には踏み切っていないが
グローバル化の急展開で“半強制化”
「英語が必要になったのはこの半年、1年の間。
世界の拠点に横串を刺した機能別組織に変わり、
いまでは部門のトップはほぼ外国人で、
その下のクラスも半数以上が外国人で占められている。
役職者は海外の社員のマネジメントもする必要があり、
英語ができないと昇進候補から外れてしまう」
中堅層の間には必死に英語を勉強している人もいるが、
国内営業担当やR&D(研究開発)関係者のなかには
「俺は英語は喋らない」という人もいるという。
「しかし、今年度からグローバルな人事評価システムに移行する。
上司が外国人なら目標設定や評価面談シートも英語で書くことになるだろうし、
英語で説明できないと、評価が下がることになるのではないか」
との懸念もある。
英語公用語化はトップの強いリーダーシップなしには進まない。
しかし、一気に画一的に推進しようとすれば、現場の混乱も生じる。
大手消費財メーカーの人事担当役員は
「公用語化は不可避でも、怖いのは社員のモチベーションの低下。
年齢構成を踏まえて、必要な部署から漸次進めるなどの慎重な配慮も必要だ」
と助言する。
Panel on the various perceptions of the term "entrepreneur"
*
M. Shafik Gabr,
Chariman & Managing Director,
ARTOC Group for Investment & Development;
*
Christian von Koenigsegg,
Founder & Chief Executive Officer,
Koenigsegg Autommotive AB;
*
Hiroshi Mikitani,
Chairman & Chief Executive Officer,
Rakuten Inc.
*
~現場の社員からあがる嘆きの声~
ホンダや楽天など、企業では英語の公用語化が進んでいる
英語公用語化の宣言時、楽天社内では、約束と違うとの声も上がったという
日本人同士では議論が活性化せず、皆黙ってしまう場面もあるそうだ
「英語公用語化」は突然降ってきた!
ドメスティック社員たちの慟哭・・・
いまや日本企業はグローバル化への対応が
「待ったなし」の状態となっている。
そうなると日々の職場での会話も「英語で」となるのだが……
■ 目標スコア未達は給与10%カット
そうした英語の公用語化に弾みをつけたのが、
楽天とファーストリテイリングだ。
楽天は10年春に三木谷浩史会長兼社長が公用語化を宣言し、
12年7月に完全実施へ移行。
国内営業部門の男性社員は、
宣言時の驚きをいまでもよく覚えている。
「もともとバリバリの体育会系出身者が多い会社で、
『えっ、全員英語やるの』と皆が驚いた。
『入社時に英語が条件となっていなかった。
約束が違うじゃないか』という声も上がった」
だが、
公用語化の準備は着々と進む。
全員のTOEIC受験と部署ごとの平均目標点数の設定に始まり、
1年後には社内資格ごとの到達点数が設定された。
また、それをクリアできないと、厳しい措置も断行されたのだ。